【琉球いろは歌】へ(ヒ):
下手からど習て
下手からど習て すぐれてや行きゆる[1]
及ばらぬともて 思案するな
未熟なうちから修練して、上達していくもの。熟達できないなどと、思案していてはいけない。
奄美大島の民謡に同様の歌があるため[2]、それを引用したと思われます。
言葉
- スグリティヤ行チュル:「優れてはいく」〈習熟してゆく〉◁スグリティ+ヤ+`イチュン[優れる suguri=in, =ran, =tan >suguriti; 行く 'i=chun >'ichuru].口語では、接続(ティ)形に格助詞ヤが続くとテーとなる[-ti +ya >tee]。このヤは、〈(修練に応じて少なくとも)一定の向上はする〉といった意味合いになる。前句の係助詞ドゥを受けて、連体形イチュルで結ばれている。
- 及ブラン:「及びよらん」(及ばない).付延活用や弱変化と呼ばれるもので、動詞に-(w)unの否定形や過去形を付して、単純な事実ではなく経験的なニュアンスを出す[及ぶ 'uyubun +居る wun, wuran >'uyuburan]。
- スィルナ:するな.不規則の文語表現で、口語はスナ。
宮良