島言葉(しまくとぅば)と沖縄語(うちなーぐち)
沖縄語:ンカスィ シュイナカイ `アタル ハナシ ヤイビースィガ、イッペー チュラウィナグ トゥジ ショール ッチュヌ ウイビータン.トゥジヌ ドゥク チュラサヌ、ウトー クヌ トゥジヌ ムシカ ユスニ フィカラサリール クトー ネーンガ `ヤーンディチ、`アサン バヌン チャー シワビケーイ ショーイビータン.
日本語:昔、首里にあった話ですが、たいそう美しい女を妻にしている人がいました。妻があまり綺麗なので、夫はこの妻がもしかしたら他所に惹かれることがないかしらと、朝も晩もいつも心配ばかりしていました。
上記は、沖縄語と日本語による同一の昔話の対訳文です。しばしば「沖縄方言」とも呼ばれる沖縄語の方は、独自の文法や語彙の知識がないと、(日本語話者でも)理解することが困難なくらい日本語の表現や音とは異なっていることがわかります。
日本列島や南西諸島で使われてきた言葉は、(アイヌ語や朝鮮語を除いて)互いに類似していることから、言語学では「日琉語族」と呼ばれています。一方で、奄美諸島から沖縄本島・先島諸島までは、本州や九州とは発音も語彙も大きく異なる、それぞれに固有の言葉が話されてきました。これらはまとめて「琉球諸語」と分類され、本土の日本語とは別のグループを成しています。つまり、これらの島言葉は日本語の方言というよりは、別の言語とみなせるのです。
実際には、例えば石垣島と沖縄本島の話言葉の間でも、互いに意思疎通ができないほどの違いがあるため、宮古語や八重山語といったいくつかの「言語」に区別され、さらに地域のバリエーションである「方言」があります。今日「沖縄口」の意味するところはまちまちですが、狭義には沖縄本島固有の言語(沖縄語)を指します。
沖縄語には、北部方言と中南部方言の二大区分がありますが、北部の言葉を国頭語と呼んで「沖縄語」と区別する場合もあります。このサイトでは、琉球王国の公用語だった首里方言とそれに近縁で商業の共通語だった那覇方言を主な対象としています。
なお、現在の沖縄の人々の間で話されている日本語の方言(沖縄方言)は、沖縄大和口と呼ばれ、本来の沖縄語とは別のものです。「アキサミヨー」といったウチナーグチに由来する特殊な言い回し以外は、県外出身者とも相互理解が可能です。